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ひとりアシャギ

ひとりアシャギ(遊び)の場

【書評】1つのフレーズに込められる表現。「そして、きみが教えてくれたこと」

書評

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発売した当初に購入して読み終わっていた本を引っ張り出してみた。

こちらの本は原作はコリーン・フーヴァーという方。

自費出版で出した「SLAMMED」が、ニューヨークタイムズベストセラーを経て、日本でも翻訳されたものです。

「そして、きみが教えてくれたこと」

日頃小説は余り読みませんし、恋愛小説ならなおさら手にとる機会はありません。

背表紙を引用します。

18歳になったばかりのレイクは、最愛の父を亡くしたあと、長く住み慣れた町を離れることになった。あらゆる感情を閉ざしがちだった彼女は、通り向かいに住むウィルという青年に出会う。初めて知る本気の恋に戸惑いながらも、レイクはいつしか彼に心を開くようになっていった。だが想いが通じ合ったのもつかの間、ふたりのあいだには、決して結ばれてはならない、悲しくも切ない理由があった…。

 正直、この背表紙から訴求されるほど、恋に焦がれている僕ではありません。
なら何故この本を手にしたのかというと。

バックトラックに合わせて、詩を朗読するパフォーマンス。
ポエトリーリーディングというジャンルをご存知でしょうか?

shing02小林大吾、24歳でこの世を去った不可思議/wonderboyの名を知っている方なら、この本を手にして読み進めていく毎にポカポカとした温かさを感じるかもしれません。

この本のストーリーの中で”詩(ポエム)”がポイントになっています。

SLAMMED

実際にどうなのかはわかりませんが、作中の説明によるとアメリカではスラム(SLAMMED)という文化があるようです。
バーやクラブに集まって自分がこしらえた詩を発表する、それを聞きに行く人もいる。簡単に言うならば、詩の朗読大会のようなものです。

 

ストーリーを進めるうちに出てくる、登場人物達が持つ悩み・葛藤・思いが、”詩”によって表現されるシーンがいくつかあります。
それによって人物の心情を伺うことができるので、全380Pあまりのボリュームでもスラスラと読むことができます。

 

ストーリー

「決して結ばれてはならない理由」というのは何なのか・・・。
物語の序盤で分かることなのですが、先生と生徒という関係がそれです。

あまり「禁断の関係」と言えるのか?、日本とアメリカの感覚の違いかな?
というように解釈しましたが、本書のおすすめしたいのは物語よりも”詩”の役割についてです。

物語全体を読み終えて思ったことですが、
「1つのフレーズが出来上がって、1つの詩が出来上がる。」
「1つの詩が出来上がって、物語が出来上がる。」

”詩”を題材にしている以上、物語は1つの”詩”を読み上げるために構成されているようにも思えるのは致し方ないですが、その詩があるからこの本が成り立つのです。
更に言えば、その1つの詩における、ワンフレーズ。たった11文字のために物語は始まっている。
そんなワンフレーズに込める力というものを感じました。

たった1文で魅せるフレーズもいいですが、1文のための作品というのも面白いです。1048039

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